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【おかんの肉じゃが】菱沼未央のおいしいまいにち

 こんにちは。フリーランス管理栄養士の菱沼未央です。

 このブログでは、”日々のごはんがちょっとおいしく、ちょっと楽しく、健康に”をコンセプトに、お料理や栄養情報、レシピなどを投稿しています。

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みお

今日は、母の味の代名詞
【肉じゃが】を紹介するよ!

こむ

ぼくにとっては「ばあばの味」だね

みお

肉じゃがって家庭ごとに作り方が千差万別なんだよね。
我が家の肉じゃがは「肉は豚肉」「玉ねぎがじゃがいもより多い」がPOINT!

こむ

それでも「にくたま」にはならない不思議…

おかんの肉じゃが

材料

  • じゃがいも 3個(400g)
  • 玉ねぎ 大2個(500g)
  • 豚バラ薄切り肉 200g
  • A
    • しょうゆ 大さじ1(18g)
    • きび砂糖 大さじ1(9g)
  • 菜種油 大さじ1(12g)
  • B
    • 昆布 10cm角1枚
    • 水 2カップ(400g)
  • C
    • しょうゆ 大さじ2と1/2(45g)
    • みりん 大さじ1〜2(18〜36g)
    • きび砂糖 大さじ1(9g)
  • いんげん 5本(30g)

作り方

  1. Bは合わせて冷蔵庫で半日ほど置く。豚肉は7cm幅に切りAをもみ込んでおく。
  2. じゃがいもは皮をむいて4等分に切り、水に5分さらして水けを切る。玉ねぎは8等分のくし切りにする。いんげんは沸騰した塩水でさっとゆで、適当な長さに切る。
  3. 鍋に油を中火で熱し、じゃがいもと玉ねぎを加えて全体に油が回るように炒める。
  4. Bを注ぎ入れ、煮立ったら昆布を取り出し豚肉をほぐし入れる。再度煮立ったらあくを取りCを加える。
  5. ぬらして軽く絞ったキッチンペーパーで落し蓋をし、さらに蓋をして中火で15分ほど煮る。
  6. 落し蓋を外して上下を返すように大きく混ぜ、強火にして時々鍋をゆすりながら汁けが少なくなるまで煮る。
  7. 火を止めて斜めに切ったいんげんを加え、蓋をして10分ほどおき味を含ませる。

POINT

  • 下味の砂糖の保水効果&炒めないことでお肉がふっくら柔らかく

  • 部位は肩ロースでもOK(適度に脂のある部位の薄切りがおすすめ)

  • 肉じゃがの玉ねぎが大好きな我が家の玉ねぎ増量レシピ(じゃがいも<玉ねぎ)

  • にんじんを加えてもOK(加える場合は乱切りにして工程3で)

  • 水ではなく昆布だしで煮ることでまろやかな旨味に

  • 最後に強火でガッと火入れし煮崩すことでほっとする味に

  • 玉ねぎから出る甘味でみりんの量を調整する

  • 菜種油はサラダ油でもOK

ビタミンAのお話

みお

肉じゃがににんじんを加えるか否かで大きく変わる栄養素…
それはビタミンA!!!
我が家の肉じゃがはにんじんを入れたり入れなかったりなんだけど、じゃがいも100g減らしてにんじん100g足すと、ビタミンAの量は22倍になるよ!

こむ

栄養素基準で食材入れるか否か考えたことなかったわ…

みお

まあ、他の食事から摂れていればなんにも問題はないんだけどね。
ビタミンAが不足してると感じる人は、入れて作ってもいいかもね。
ちょっと、ビタミンAについて復習しておこうか!

こむ

復習どころか初耳やて。

ビタミンAの基礎知識

 ビタミンA、またの名をレチノイド
その末端構造によりレチノール(アルコール)レチナール(アルデヒド)レチノイン酸(カルボン酸)に分類されます。

 これらビタミンAは動物性食品のみに含まれており、植物性食品にはプロビタミンAの形で存在しています。

 プロビタミンAはヒトの体内でビタミンAに変換されます。どんなにプロビタミンAを摂っても体に必要な分しか変換されないので、ビタミンA過剰症は動物性食品の食べ過ぎでしか起きません。野菜は安心して食べてください。

ビタミンAの生理作用

  • 視覚の正常化(ロドプシンの成分)
  • 成長および生殖作用への関与
  • 感染予防
  • 皮膚や粘膜を正常に保つ

 ビタミンAの生理作用は、視覚の正常化(ロドプシンの成分)、成長および生殖作用への関与、感染予防などです。上皮組織を維持したり、細胞増殖・分化の制御をしたりする働きがあることから、美容に興味のある層から人気のあるビタミンです。

ビタミンAの過剰症と欠乏症

 さて、そんな性質をもつビタミンA、不足すると夜盲症眼球乾燥症暗順応反応の低下生殖機能の低下免疫機能の低下発育障害骨端骨形成不全歯牙エナメル欠損粘膜・皮膚の角化尿路感染等が起こることがあります。なかなかに厄介なビタミンちゃんですね。
 
 日本で暮らしていると想像できないかもしれませんが、世界中では多くのビタミンA欠乏症の患者さんが、今日も失明をしています。多くの発展途上国では、ビタミンAを含有する動物性食物の入手が困難かつ、貧困のためβ-カロテンを含有する食物を日常的に摂取できないことが多いため、ビタミンA欠乏症が多発してしまうのです。

 世界保健機関によると、世界中で1億9000万人の未就学児童および1910万人の妊娠女性が、ビタミンA欠乏症を発症しています。そして、ビタミンA欠乏症のうち推定25万〜50万人の子供が毎年失明し、その半数が視力を失ってから12ヶ月以内に死亡しています。私たちが失明を恐れずに生きていられるのは、日本という恵まれた環境ゆえなのです。生まれた環境で目の寿命およびいのちの長さが決まるというのは、なんともいたたまれない現実です。

 そんな恐ろしい欠乏症のあるビタミンA、摂りすぎると、頭蓋内圧亢進症(頭痛)、吐き気、骨や皮膚の異常、関節痛、甲状腺機能の低下等が起きることがあります。

 蓄積可能なビタミンなので慢性的な摂取でも発症しますが、大量に摂ると急性中毒を引き起こすこともあります。

 かつて北極探検隊が、ホッキョクグマの肝臓をシチューにして食べて中毒になった、という事例も残っています。症状としては、食後30分から12時間で発症し、激しい頭痛、発熱、吐き気、嘔吐、顔面の浮腫がみられ、下痢、腹痛を伴うこともあるようです。

 特徴的な症状は2日目ごろから始まる顔面や頭部の皮膚の剥離です。軽症では顔面,頸部などの局所的な落屑(らくせつ)=皮膚が剥がれ落ちること、で済みますが、重症の場合は落屑は全身に及び、回復には20~30日を要するようです。

 日本でも中毒例はあり、2006年-2015年においては患者数26人、死者数0人となっています。死者数が0なのが救いですが、決して他人ごとではありませんね。

 ビタミンAはほとんどが肝臓に蓄積されるので、肝臓、つまりレバーの過剰摂取には気をつけましょう。

日常的に摂取する可能性のあるもので含有量が多いものは豚のスモークレバー、鶏レバー、豚レバー、あん肝、うなぎの肝、あゆの内臓、牛レバーなどです。

 妊娠中のビタミンA過剰摂取は、先天性異常を生じる可能性があるので、より一層の注意が必要です。先天性異常には、眼球、頭蓋、肺および心臓の奇形などがあります。

そのため、妊娠の可能性がある女性は高用量のビタミンAサプリメントや、ビタミンAを多く含む食品に注意が必要です。妊娠すると、保健士さんや医師、管理栄養士から指導があるのはこのためですね。

「いや実際たくさんとっても平気っしょ」なんて思わずに、ぜひ、指示に従ってください。私たち管理栄養士は決して、みなさんを脅しているわけではないのです。

 みなさんが思っているよりずっと、栄養は、ヒトの健康や命に直結しています。

…熱くなってしまい申し訳ありません。栄養素の過不足による病気は、適切な知識と行動で防げるものなのでひとりでも多くの方が、不要な苦しみを背負うことがなくなるよう、心から祈っています!!!!!

プロビタミンAのお話

 ここまでお読みいただいたみなさんは

『よく「ビタミンA摂るためににんじん食べよう!」って言うけど、にんじんにはビタミンA入ってないんかーい!!!』と思われていることでしょう。

 そう、ビタミンAが含まれているのは動物性食品のみです。

 でも、植物性食品には豊富なプロビタミンAが含まれていて、これらが生体内でビタミンAに変換されるため、プロビタミンAも含めてビタミンAと考えるんです。

 どういうこっちゃ、ですよね。順を追ってご説明します。

 プロビタミンAには、α-カロテンβ-カロテンβ-クリプトキサンチンの3種類があり、すべてカロテノイド色素群に属しています。

 カロテノイド色素群は黄色から紅色を呈します。ざっくり「赤とか黄色とかオレンジの野菜にはカロテノイドが入ってるんだな」と覚えておいてください。

β-カロテンは体内で酵素によって分解され、2分子のレチノール、つまりビタミンAになります。ただ、βカロテンはレチノールに比べ吸収率が低く、吸収されてもすべてがビタミンAへと転換されるとは限らないため、βカロテンの摂取量をそのままビタミンAとするのではなく、計算式に挿入し、レチノール活性当量として表します。

食品から摂取したα-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンを、実際にビタミンAとして使えそうな量に変換し、レチノールと足し合わせ、それをビタミンA量としているのです。

 冒頭で述べたように、プロビタミンAは必要な分だけビタミンAになるため、残ったカロテノイドは抗酸化物質として体内で働いてくれます。ビタミンAと違って過剰症の心配がないのがいいですね。

 ちなみにα-カロテン含有量が多いのはあまのり、にんじん、いわのりβ-カロテン含有量が多いのはあまのり、まつも、パセリ、いわのり、とうがらし、にんじん、しそ、ほうれん草、モロヘイヤなどβ-クリプトキサンチン含有量が多いのはとうがらし、トマピー、オレンジピーマン、赤ピーマン西洋かぼちゃ、つるむらさき、パセリ、モロヘイヤ、はくさいキムチ、わけぎ、スイートコーン、ほうれんそうなど。

 これらを意識的に摂って、過剰症も欠乏症も防いじゃいましょう!!!

 

まとめ

 いかがでしたでしょうか?
ビタミンAの重要性、奥深さ、含む食品群がお分かりいただけたかと思います。

 こんな感じで、ひとつひとつの栄養素はとても複雑で多様な生産過程や代謝を経て私たちの健康をたもってくれているのです。そして、それらの栄養素を含む食材を摂取できることは、本当に本当に恵まれているのです。

 みなさんが思っているよりずっと、栄養は、ヒトの健康や命に直結しています。それなのに、地球上には、栄養の恩恵を受けられないヒトも大勢存在します。

 栄養素の過不足による病気は、適切な知識と行動、共助で防げるものです。どうか、栄養関連の病気が撲滅する日が訪れますように…!

こむ

前回の例があったけど、またしても肉じゃがからこっち方面に論を展開してくるとは思わなかったよ…!!!地球規模…!!

みお

食材選択×栄養学×広い視点=生きる知恵!!!!!

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 今回使用したしょうゆ、きび砂糖(花見糖)、菜種油、野菜類はパルシステムで購入したものです。

 お値段は高くないのにとってもおいしい!本当に推せるので、ぜひお試しだけでも使ってみてくださいね~!!!

参考文献