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【グリルきのこのすだちマリネ】菱沼未央のおいしいまいにち

 こんにちは。フリーランス管理栄養士の菱沼未央です。

 このブログでは、”日々のごはんがちょっとおいしく、ちょっと楽しく、健康に”をコンセプトに、お料理や栄養情報、レシピなどを投稿しています。

 BASE【菱沼未央のおいしいまいにち】では、さまざまなレシピをデータ形式(PDFファイル)で販売しているので、ブログのレシピを作ってみて「おいしい」と思っていただけたら、ぜひいろいろお試しくださいね!
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みお

今日は、自身のレシピのなかで最もみなさんにお作りいただいたであろう【グリルきのこのすだちマリネ】のレシピをご紹介します!
日光に照射してからグリルして作る…というなんとも管理栄養士らしいレシピ。笑
ビタミンD、少しでも多く摂りたいじゃない!

こむ

ビタミンDってお魚食べなとなかなか目標量に達しづらいもんね…
きのこのビタミンD増やすテクはありがたいかも…。

みお

どう干したらどれくらい増える…みたいな小難しいことはおいておいて…
とってもおいしくてきのこがモリモリ食べられるので
みなさんぜひお試しを!!!!!!

グリルきのこのすだちマリネ

材料

  • まいたけ 1パック(150g)
  • ひらたけ 1パック(150g)
  • しいたけ 10枚ほど(100g)
  • A
    • 酢 1/2カップ(100g)
    • 水 1/3カップ(67g)
    • きび砂糖 大さじ4(36g)
    • 塩 小さじ1(5g)
  • すだち 3個(果汁20g)
  • オリーブオイル 大さじ1(12g)

作り方

  1. まいたけは手で割き小房に分ける。しいたけは石づきをひねって外し、半分(大きなものは1/3〜1/4)に割く。ひらたけは石づきを落とし小房に分ける。
  2. フライパンにオリーブオイルを中火で熱し、きのこを入れ2〜3分動かさずに焼きつける。こんがりしたら上下を返し2分ほどしっかり焼く。きのこがしんなりして艶が出たら保存容器に入れる。
  3. Aを小鍋に煮立て、砂糖と塩が溶けたら2に回しかける。すだちを半分に切り種を除き、果汁を搾り入れ一混ぜする。搾ったあとのすだちの皮も加え、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存する。
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POINT

  • きのこは調理前に天日干しにするとビタミンD量UP

  • 香ばしくグリルしたきのこが美味しいマリネと火が通りきらないので注意(適宜加熱時間を伸ばす)

  • きのこは炒めると水っぽくなるので焦げ目がつくまで焼きつけるる

  • きのこはトータル300〜400gになればOK

  • すだちの香りが爽やかな秋のマリネ(秋以外はほかの柑橘で代用)

  • 食物繊維、ビタミンD、カリウムの摂れる体にうれしい作り置き

  • すだちをもっと香らせたい場合は皮を削り入れる

ビタミンDのお話

ビタミンDの基礎知識

 ビタミンD、またの名をカルシフェロール
天然にビタミン D 活性を有する化合物は、キノコ類に含まれるビタミン D2(エルゴカルシフェロール)と魚肉及び魚類の肝臓に含まれるビタミン D3(コレカルシフェロール)に分類されます。

 もともと植物性食品にはプロビタミンD2(エルゴステロール)、動物性食品にはプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)の形で含まれていて、それらが紫外線照射によってビタミン D2(エルゴカルシフェロール)とビタミン D3(コレカルシフェロール)になるのです。

 そんなビタミン D 。ヒトにおいてはは二つの供給源があります。

 一つ目は、自分で作る。二つ目は、食物から摂る。

 栄養を他の生物に依存しているヒトですが、珍しくヒトが自分で作れる栄養素が出てきました。☞ここらへんのお話はVoicyで詳しくお話しているので、理解を深めたい方はぜひ!

 

 従属栄養生物のヒトも頑張ってますね。それだけ大事なビタミンとも考えられます。
 では、まず一つ目の、「自分で作る」から解説していきます。

 ヒトを含む哺乳動物の皮膚には、プロビタミン D3(7─デヒドロコレステロール)がコレステロール生合成過程の中間体として存在しています。それが日光の紫外線によりプレビタミン D3(プレカルシフェロール)となり、体温による熱異性化によりビタミン D3(カルシフェロール)になります。

 皮膚を太陽に晒すことで、自分でビタミンD3が作れちゃいました。

 次に二つ目の、「食物から摂る」パターンについて。

 植物性食品と動物性食品を食べることで、ビタミン D2 とビタミン D3 を摂り入れます。ここでも、「紫外線照射」というところがポイントなので、きのこ類を食べるときは日光に当ててみてください

 はい、この2つのルートから摂取したビタミンD、なんとこのままではまだ使えません。小腸から吸収されたのち、肝臓で酵素により水酸化され25-ヒドロキシビタミンDとなりさらに腎臓で酵素により水酸化され1α25-ジヒドロキシビタミンDになり、やっと活性型になるのです。

 プロからプレになり、プレからビタミンDになり、体内で二回水酸化され、やっとこさ活性型ビタミンDになる…なかなかに長い道のりでしたね…。栄養素も人体もよく頑張ってます。

ビタミンDの過剰症と欠乏症

 さて、そんな性質をもつビタミンD、強い骨を維持したり健康を維持したりするために必要な栄養素です。

 ビタミンDは、身体が食材やサプリメントからカルシウムを吸収するのを助けることによって、強い骨を維持します

 具体的に言うと、小腸からのカルシウムやリンの吸収を促進したり骨や歯へのカルシウムの沈着を高めたりして、骨組織を維持しているのです。

 そんなわけで、ビタミンDの摂取が少なすぎる人は、骨が軟化し、細くなり、脆くなる病気を発症するおそれがあります。

 このビタミンD欠乏症、小児の場合は「くる病」、成人の場合は「骨軟化症」と呼ばれています。これらの疾患は、骨の痛みや筋力の低下を起こし、進行すると歩行障害や脊椎骨折による脊柱の変形などが現れます。

ちなみに、ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症もあり、ビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症とは異なり、天然型ビタミンDを摂取しても完治しません。こうなってくると栄養学だけでは太刀打ちできず、医学の範疇となります。

また、骨意外においても、身体にとってとても重要な栄養素です。

 たとえば、筋肉を動かすため神経が脳と身体のあらゆる部位との間のメッセージを伝達するため免疫系が体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退するために不可欠です。

 そのため、ビタミンDが欠乏すると骨の不調以外にもがんの発症やフレイルの進行、生活習慣病の悪化等のリスクがあるとされています。ビタミンDはコロナ対策としても脚光を浴びたビタミンです。

Q1.食事療法によって免疫システムを強化できますか?

A.簡単に言えば、食事を通じて新型コロナウイルスに対する免疫システムを特別に増強することはできず、特定の食品やサプリメントによりウイルス感染の拡大を抑えることはできません。感染を回避するための最良の手段は、依然として適切な衛生習慣、つまり、ウイルスに感染しない行動をとることです。ところが、免疫システムが正常に機能するために多くの栄養素や関連物質が関与しています。

1)摂取エネルギー:やせても肥満でも感染リスクは高くなる。
2)栄養素 
たんぱく質、n-3系脂肪酸、食物繊維
ビタミン:ビタミンA、ビタミンD,ビタミンE、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン)、ビタミンC
ミネラル:鉄、亜鉛、銅、セレン
3)乳酸菌

従って、これらの摂取が過不足になると免疫システムが機能しにくくなり、ウイルスに対する抵抗力は低下します。たとえば、エネルギー・タンパク質欠乏症(PEM)により免疫能は低下し、高齢者では、やせや血清アルブミン値の低下により、インフルエンザワクチン接種後の抗体陽性率は著しく低下し、感染予防率も低下することが解っています。また、各種のビタミンは、各種の代謝を営む補酵素として働くことから、これらが欠乏すると免疫能を担う細胞の機能低下を招きます。ミネラルの欠乏は、胸腺の形成不全や抗体となる免疫グロブリンのレベルを低下させます。一方、肥満や糖尿病等の過剰栄養も免疫能の低下を誘発します。

 従って、免疫能を維持するには、栄養バランスの取れた食事により、免疫システムの正常な機能を維持する各種の栄養素関連物質が適正に摂取されること、つまり、栄養不良を起こさないようにすることが第一に必要になります。栄養のバランスが崩れ、免疫能が低下している人には、食事改善により、免疫能を回復することが可能になります。

 健康的でバランスの取れた食事を維持するためには、さまざまな食品を食べることが必要で、そのヒントになるのが、厚生労働省が示している「食事バランスガイド」です。
■厚生労働省「食事バランスガイド」を見る

Q2.ビタミンDサプリメントは、とるべきですか?

A.ビタミンDは、健康な骨、筋肉、歯のためにカルシウムとリンとともに働きます。また、筋力を保護し、くる病、骨軟化症、転倒を防ぐのにも重要です。最近では、免疫システムの一部を担っていることが明らかにされていますが、サプリメントにより食事摂取基準で示された目安量(8.5μg/日:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」男女18歳~)以上に取ることで、新型コロナウイルスが予防、治療できる根拠はありません。

 健康的でバランスの取れた食事で、十分な日光を浴びることができれば、特別にビタミンDのサプリメントをとる必要はありません。外出自粛で、ビタミンDの摂取や日光を浴びる時間が著しく減少する場合は、庭やバルコニーなどで時間を過ごし、ビタミンDが豊富な食品、たとえばサケ、イワシ、マス、ニシン、ウナギなどのあぶらの多い魚をとってください。ビタミンDが添加されている乳製品、マーガリン、粉ミルク、一部のヨーグルト等を活用するのもよいでしょう。食事が十分に摂れず日光浴もほとんどできない場合は、サプリメントを活用するのもよい方法です。

中村会長のメッセージ「新型コロナウイルスの状況下、今、栄養指導に必要な一般生活者へのアドバイス」 | 新型コロナウイルス感染症への対応について | 公益社団法人 日本栄養士会 (dietitian.or.jp)

 

必要と考えられる一方で、がんや生活習慣病、コロナウイルスの予防に関しては正確なデータ不足のため、「●●を防ぐためにビタミンDを●●くらい摂ろう」と断言するのはむずかしいようです。食事摂取基準の目安量に満たない場合は摂った方がいい、という感じですね。

 ビタミンDとがんについての結論

USPSTFは、エビデンス不十分のため、がん予防のためにビタミンDを補うことの有益性(ベネフィット)と有害性のバランスを評価することができなかったと述べている [117]。以上をまとめると、これまでの研究では、カルシウム補充の有無にかかわらずビタミンDが、がんの発生率を減少させることは示されていないが、25(OH)Dレベルが十分またはそれ以上であれば、がん死亡率を減少させる可能性がある。ビタミンDの不足が、がんリスクを増加させるかどうか、この栄養素への曝露量を増やすことでがんを予防できるかどうか、また、一部の個人ではビタミンDの状態が長期的に変化することでがんリスクが増加する可能性があるかどうかを判断するためには、さらなる研究が必要とされている。

厚生労働省eJIM | ビタミンD | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト (ncgg.go.jp)

ビタミンDと紫外線曝露

 さて、ここまでお聞きいただき、ビタミンDと紫外線、というのは切っても切れない関係ということがお分かりいただけたかと思います。

 プロビタミンDの形で存在する前駆体をヒトが使えるようにするためには、日光に当たることが重要なのです。

 ただ…「じゃあ日光にどんどん当たろう!」と裸で日光浴すればいいのかといえばそうじゃないのが難しいところ。ちょっと栄養学からは話が逸れますが、理解を深めるために日光のお話から入りましょう。

 太陽からの光線には、私たちの目に見える「可視光線」のほかに、「赤外線」「紫外線」「X線」「ガンマ線」などがあります。

 さらに、紫外線はその波長の長さによって「A波(UVA)」「B波(UVB)」「C波(UVC)」に分けられます。

 これら太陽光のうち、「ガンマ線」「X線」「UVC」はオゾン層に吸収され、地上に届くことはありません。UVCは人体に強く反応して非常に有害ですが、大気中のオゾンによって強く吸収されるんですね。オゾン層ありがとう。

 はい、そんなわけで紫外線のうち地上に届くのは、残った「紫外線A波(UVA)」と「紫外線B波(UVB)」という2種類になります。

 このうち、ビタミンDの活性に関係するのはUVBと言われています。

 じゃあUVBを肌に当てればいいんだ!となりそうですが、そうは問屋が卸しません。UVBは肌を赤くする紫外線とも言われ、エネルギーが強く、肌表面の細胞を傷つけたり、炎症を起こすので、皮膚ガンやシミの原因になります。

 長時間の日光浴で肌が真っ赤に焼けたり、水膨れができたりする主な原因となるのが紫外線B波(UVB)なのです。

 人体に有害な紫外線と、健康に寄与するビタミンDを生成する紫外線とが同じ波長域の中に存在することが本当に厄介なんですよね。

 一方で人体に有害であるものの、同時にビタミンDを生成する…じゃあどうしたらええねん!

みお

ここで、栄養学の出番です。

 結論から言うと先ほど述べた2つのビタミンD供給源ルート自分で作る、と食物から摂る、を、バランスよく行う、ということです。

 紫外線による皮膚へのダメージを防ぎつつプロビタミンDからビタミンDを生成し、そこに食品からの摂取を加え、必要量を満たしていきます。

 うわ~なんかめっちゃ難しそう!と思われるかもしれませんが、それを示したものが、みなさんご存じの食事摂取基準です。

 ビタミンDの食事摂取基準量は、日光浴により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえて、食事から摂る目安量が設定されています。

 食事摂取基準に示された量を摂りつつ、適度に日光に当たることで健康を維持できるのです。

 ざっくり10 μgほどのビタミンDを紫外線によって補いつつ、残りは食品から摂取しよう!という感じです。

しかし、厚生労働省の報告によると、現実には多くの人々が日光照射の不足に伴って、体内のビタミンDが不足していると考えられています。なので、日照量の少ない地域(緯度の高い地域)に住んでいる、紫外線遮断化粧品や日焼け止めの常用、高齢者などにおいては一層注意が必要です。

 夏と冬でも紫外線の量は変わってくるので「少し多いかも」くらいで摂っておいて問題ないかと思います。紫外線照射によるプロビタミンDの活性化は必要量以上は起きないため、食事から摂りすぎない限り、どんなに紫外線に当たってもビタミンD過剰症にはならないのです。

 そんなわけで、私たち管理栄養士たちにおいては、北海道や東北などの高緯度地域にお住まいの方の栄養管理においてはビタミンD量を意識的に増やす、寝たきりの方や美意識の高い方にはビタミンD不足による健康被害を伝え摂取量増加を促す、といったフレキシブルな対応が必要になってきます。

 また、

  • UVBは一般的な窓ガラスや車のガラスを通過できないため、室内や車内での日光浴はビタミンD生成につながらない
  • 紫外線はメラニン色素が少ない方が吸収されやすいため、日光に当てるのは腕の内側がおすすめ
  • 紫外線照射によるビタミンD生成量は照射範囲に依存することから、照射面積を増やした方が、肌にダメージを与えず短時間で必要量を生成できる
  • ビタミンDは脂溶性につき体内に備蓄できるため、肌を多めに露出したり、照射時間を延ばしたりすることで、その後数日間は不足分を備蓄分が補ってくれる

といった豆知識もお伝えしていきたいところです。

 ここでさらに栄養学から広げた豆知識。

 緯度の高い地域には白人系が多く、赤道直下の緯度の低い地域には黒人系が多いですね。これは、高緯度に住む人々は、太陽高度が低く、低・中緯度に比べて相対的に少ない紫外線照射になるため、「メラニンの生成を抑制し肌の色を薄くした」「あるいは肌の色の薄い人々のみが生き残った」とも言われています。

 紫外線の吸収を阻害するメラニンを減らすことでビタミンDを確保し、生き残ったというわけです。また、低緯度に住む人々は紫外線が豊富なためビタミンDは十分に体内で生成され、なおかつ有害な紫外線から身を守るために色素量を増やした (皮膚の色を濃くした) と考えられています。

 ヒトの体はよくできていますね。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?
ビタミンDの重要性、そして奥深さ、面白さがお分かりいただけたかと思います。

 こんな感じで、ひとつひとつの栄養素はとても複雑で多様な生産過程や代謝を経て私たちの健康をたもってくれているのです。

 みなさんが思っているよりずっと、栄養は、ヒトの健康や命に直結していいます。

 栄養素の過不足による病気は、適切な知識と行動で防げるものなのでひとりでも多くの方が、知識という武器を身にまとい、行動という技を使えるようになるよう、一生懸命サポートしていきたいと思っています。このブログを通して、みなさんの戦闘能力がどんどん上がっていきますように!

こむ

グリルきのこのすだちマリネからここまで論を展開してくるとは思わなかったよ…!!!

みお

調理理論×栄養学=生きる知恵!!!!!

使用調味料およびきのこの購入先(PR含む)



 

 今回使用した米酢、きび砂糖(花見糖)、オリーブオイル、きのこ類はパルシステムで購入したものです。

 きのこに関しては、我が家のパルシステム購入率90%です。本当においしいし、鮮度がいいものが届くのでとってもおすすめ。特にひらたけは欠かせません。
 本当に推せるので、ぜひお試しだけでも使ってみてくださいね~!!!



参考文献